古い木造の織物工場だった家の前に、これでもか！と(一見)乱雑に積まれた自転車たち。お店なのかどうなのか一瞬躊躇し、足を踏み入れるとそこには自転車を心から愛する再来（さいくる）の店主、藤井清さんがいらっしゃいました。
藤井さんは、プロの自転車チームの技師として活躍されたり、東京オリンピックの自転車競技のコースを提案された経験の持ち主です。また、自転車チームを設立し、現在そのチームは、一部リーグで活躍しているそうです。
一見ゴミの山に見える自転車の山も、藤井さんにとっては大切な自転車のパーツたちなのです。
プロ用の自転車のメンテナンスに限らず、通学で使う自転車から、三輪車や障害者用自転車まで、ありとあらゆる自転車を直してくれます。
修理としてお願いするだけではなく、販売も行っています。目的や体型、どんな場所で乗るかなどに合わせ、その人に最適な自転車を提案してくださいます。
実際私も、山道が多い町で使う予定の自転車が必要でお邪魔したら、とても高価な自転車を破格で譲ってくださいました。もちろん、乗りやすいように修理や調整も行ってくださいました。乗り方からその後のメンテナンスまで、真摯に対応してくださいます。
再来ではレンタルも行っていて、先日は大阪まで帰りたいという大学生のために自転車を貸し出されていました。
愛着を持って使ってきたけど、直すことを躊躇している自転車があったらぜひ相談してみてください。
怪しい佇まいですが、勇気を出して自転車の山をすり抜け、声をかけてみてはいかがでしょうか。どんな自転車でも手間を惜しまず直そうとしてくれる藤井さん。そこには誰にも負けない自転車への強い想いがありました。
イベント期間中、藤井さんのご厚意でつくるのいえに再来のレンタサイクルが並びます。まち巡りにぜひご活用ください。
text：森口理緒