古今東西の織機を使いこなす「岡村織物」

0041walkのために制作スタッフは何日もかけて中野上町内を周り会社やお店を訪問しました。(訪問の様子はこちらの動画をご覧ください)
その中で出会った町内のおもしろい人や場所をご紹介していきます。はじめにご紹介するのはネクタイ、ストールを織り続けて89年の岡村織物。

創業89年の岡村織物は、ネクタイやストールを織っている機屋です。

仙人みたいな87歳の岡村清さんと、人見知りなのによく喋る岡村秀基さん、いつも笑顔な政さんの3人で、工場を動かしています。お三方ともとても優しいのです。

岡村織物には、昭和26年から動いているものから、様々な国で買ってきたものまで、織機好きにはたまらない機械があります。清さんが、各国で機械を買い付けてきたそうです。工場の前を歩けば、カッシャン、カッシャンと懐かしいシャトルの音が聞こえてきます。

創業当時は男性用の袴や献上の帯を織っていたそうですが、時代の移り変わりとともに、服地やネクタイ地、ストール地に移行しました。清さんは1964年のオリンピックで使用した、フェンシングのユニフォームも作った経験もあります。電気を通すため、金属を織り込んだ生地を開発したそうです。
当時まだ糸状の金属がなかったため、機械織機で金属を生地に入れ込むのに苦労したと、清さんは語っていました。

都心に近い立地で、時代に合わせ様々な生地を生み出してきた工場です。

過去から現代までの様々な機械を使いこなす高い技術、八王子にいながら仕事を下請けに出さず物作りを続けてきたからこその、貴重な技術の蓄積があります。

八王子の織物工場はそのほとんどがなくなってしまいました。そんな中、岡村織物は現代に技術と歴史を残す貴重な工場のひとつです。

つくるのいえではイベント期間中、岡村織物さんで織られた麻のストールを販売しています。美しい色合い、涼しい肌触りをお見逃しなく。

text:森口理緒